法政大学 デザイン工学部建築学科
教授 網野 禎昭 氏

日本の木造住宅でもプレファブ化の流れが加速
部品の複合化により付加価値を付けやすく

大工不足、高齢化問題を背景に、躯体施工の請負サービスが脚光を集めている。さらに現場工事に依存しない木造住宅づくりを目指し、プレファブ化を進める事業者も現れ始めている。こうしたプレファブ化による木造住宅の建て方は、すでにヨーロッパで広く普及している。ヨーロッパの木造建築に詳しい法政大学の網野禎昭教授に、日本の木造住宅のつくり方が今後どのように変わっていく可能性があるのか聞いた。

――ヨーロッパでは、木造住宅の建て方としてパネル工法が普及していると聞きます。

ヨーロッパ、特にオーストリアの木造住宅の分野では、いわゆる柱、梁構造というものは、ほとんどなく90%以上がパネル工法です。一方、日本の木造住宅を見ていると、在来軸組の存在感が非常に大きいと感じます。在来軸組の仕様規定というものがあまりにも社会に大きな影響を与え、広範に根付いているがために、マイナーチェンジしかできないと言ってよいかもしれません。特定の企業が展開するクローズドシステムとしてのプレファブ工法というものは色々生まれましたが、それはあくまでクローズドなものであり、木造住宅のつくり方というのは、そんなに多様化していません。在来軸組で合理化が進んだのは、主にプレカットですよね。


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プレカット材の販売促進へ
躯体施工もセットで提供

住宅・建設業で現場の直接施工を担う技能労働者の人材不足問題が深刻度を増してきている。総務省の「労働力調査」によると、2015年度の技能労働者数は約330万人。このうち55歳以上が約112万人と約3分の1を占める一方で、29歳以下の若者は約36万人と約1割にとどまっており、技能労働者の高齢化が進行していることが浮き彫りとなっている。

とくに近年、木造住宅の施工を担う大工不足が危惧されている。ここでも若年世代の大工就業者が少ないため高齢化が進み、年々減少傾向にある。5年ごとに実施している国勢調査によると2005年に54万人いた大工は2010年には40万人にまで減少。過去最大の14万人という減少を招いた。

今後10年以内には60歳以上の技能労働者、大工の大半が引退する見通しであり、若者入職者の確保・育成が喫緊の課題となっている。

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壁紙メーカーはより個性的なデザインなどを訴求

新素材を含めて、内装壁材市場に様々な新商品の投入が相次いでいるが、9割以上という圧倒的なシェアを占めているのは壁紙だ。新興勢力を迎え撃つ壁材メーカーも高付加価値化を図った新商品などを訴求し、さらなるシェア拡大を目指している。

sangestu.jpg内装壁材市場で50%以上のシェアを持つサンゲツでは、リーディングカンパニーとしてさらに消費者のニーズを取り込む様々な取り組みを進めている。その一つが、ショールーム展開だ。全国に9箇所展開し、壁紙やファブリック単体ではなく、インテリア全体としてコーディネート提案を行える体制を整えている。さらにスムーズなデリバリー体制を整えていることも同社の強みだ。「内装工事は引渡し前の最後の工事になることが多くスケジュールがタイトになりがち。在庫を豊富に揃えスムーズに商品を納められるようにしている」(同社)。

商品の見本帳も、商品単体だけでなく、家具や人物、ペットなどを入れたインテリアのコーディネート事例を載せることで、エンドユーザーがイメージしやすいように配慮している。また、「コーディネートレシピ」というコーディネートのヒントを紹介するコーナーも設けた。壁紙ならではの強みを活かしたデザインの拡充も進めている。「消費者の間で自然素材回帰のニーズが高まっている。自然素材の質感を再現した壁紙も多くそろえているが、石と木やレンガなどを組み合わせたデザインなど、本物には真似できないデザインの提案も行っている」。

さらに、初の試みとして、デザインコンペティション「サンゲツ壁紙デザインアワード2017」を開催する。「新しい発想の壁紙デザイン」を広く募集し、大賞受賞作品の商品化を予定している。同社では、2016年4月に新しいブランド理念「Joy of

Design」を打ち出した。単にインテリア素材を提供するだけでなく、人々がインテリア素材を使い、デザインし、その空間で楽しみ、安らぎを得られる豊かな生活文化を創造することを社会での役割を果たして行きたい考え。今回のアワードはその一環として行うもの。このデザインコンペティションを通じて、新しい価値創造の喜びを分かち合うことを目指す。

lilikara.jpgリリカラでは、壁紙を用いた実際のインテリアの雰囲気を消費者がイメージしやすいように、見本帳の見せ方を工夫する取り組みを推進している。好みの色から商品を絞れるように配慮し、さらに、壁紙を用いた生活シーンなどの写真を多用した見本帳「LIGHT」「will」などを用意している。

「ショールームに来館されるお客様は年々増えている。インテリアに対するこだわりが強く、自分の目で実際に商品を確かめて選びたいというニーズが高まっているあらわれではないか。アクセントとして部屋の一部だけを個性的なデザインの壁紙を採用するだけで、部屋の印象は大きく変わる。壁4面のうち1面だけを個性的なデザインの壁紙を使うといったケースも増えてきている」(同社)。また、同社では、写真や絵画などを忠実に壁紙に再現するサービス「デジタルデコ」の提案も強化している。「幼稚園や店舗などの非住宅分野での採用が多いが、住宅での採用も徐々に増えてきている。既成の製品では物足りず、自分の嗜好にあったインテリア空間をカスタマイズしたいというニーズは今後もっと高まっていくと感じている。こうしたニーズにもしっかり対応していきたい」(同社)。

インテリアに対する目が肥え、健康への意識も高い消費者が増えている。こうしたニーズに対応して新旧様々なメーカーが内装壁材市場で新たな価値提案を活発化させている。高付加価値化を図るメリットを上手く消費者に訴求できれば、限られたパイの奪い合いではなく、市場自体が活性化、拡大していくことも期待できそうだ。

施工性の向上で内装壁材市場を開拓


内装壁材市場でシェアを拡大していく上で忘れてはならないのが施工性の問題だ。実際にメーカー各社は、施工性を重視した商品を売りに内装壁材市場を開拓しようとしている

タカラスタンダードが販売するホーロー内装材「エマウォール〈インテリアタイプ〉」もその一つだ。製品の厚みは1.3mm。石膏ボードなどの下地材の上に専用の両面テープと接着剤を使用し固定するだけで施工は完了する。

AGCasahi2.jpgAGC旭硝子が開発した住宅内装用カラー硝子「ラコベルプリュム」も施工性に優れている。ガラスの裏面に特殊発泡樹脂を圧着し一体成型することで、ガラスだけの製品に比べて重量を6割削減。さらに、専用の両面テープで下地の石膏ボードに簡単に接着できる施工方法も確立、ガラス施工業者だけでなく、内装施工業者でも簡単に施工できるようにした。オリジナルの目地材・見切り材も用意した。シーリング処理を不要とすることで、工事時間の短縮に寄与する。

四国化成工業では、内装塗り壁材の施工性を高める独自の工法「SK1day工法」を確立し、内装塗り壁材「けいそうモダンコート」などで採用している。通常、目地処理、下塗り、上塗りに2日以上かかっていた作業時間を、速乾性のパテ・下塗材を採用することで半分に短縮することを可能にし、1日施工を実現した。

リフォームで簡単に使える塗り壁材が欲しいという内装施工業者からの要望も増えていたことから、2016年から既存のクロスの上から簡単に施工できるリフォーム対応の「けいそうモダンコート」の発売も開始した。

関西ペイントが開発した漆喰塗料「アレスシックイ」も施工性を売りにした商品だ。ハケやローラー、スプレーなどによる一般的な塗装方法で施工可能。手軽にしかも低コストで漆喰壁が再現できる。さらに、2016年6月には、このアレスシックイに弾性を付与した新塗料「アレスシックイモンティアート」の開発にも成功。アレスシックイと同様に抗ウイルス機能に加え、抗菌、消臭、調湿機能を発揮する。従来のアレスシックイは、モルタルやコンクリート、石膏ボードなどに塗布するといった建築用途に限られていたが、アレスシックイモンティアートには弾性を付与し、紙や繊維、フィルムなどにも塗布できるようにした。様々な箇所での用途拡大が期待できそうだ。

エスケー化研が展開する左官調軽量調湿シート「SKカイテキテイラー」も施工性に定評がある。1平方㍍当たり2.9㌕と、非常に軽いという特長を備え、「塗り材やタイル材は、一般的に重く、コストが高いものが多いのに対して、SKカイテキテイラーでは、塗料を活用することで、こうした点をクリアしている」(同社)。同社では、住宅事業者などに対して責任施工でSKカイテキテイラーを提供している。

調湿機能などを武器に現代住宅でも使いやすくアレンジ


shikoku2.jpg漆喰や珪藻土といった自然素材を利用した塗り壁材も、調湿機能などを発揮し、室内空気環境の改善に寄与する内装壁材として古くから使われているものだが、現代の住宅から和室が減少していく中で、苦戦を強いられているのも事実だ。

こうした中で、四国化成工業では、調湿機能といった自然素材の基本性能を維持しつつ、現代の住宅にもマッチする塗り壁材の開発を推進し販売を強化している。なかでも、主力商品として販売実績を伸ばしているのが、珪藻土を主成分として活用した内装塗り壁材「けいそうモダンコート」だ。調湿機能によりダニやカビの発生を抑制するほか、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドを無害化、生活臭、ペット臭も吸着・消臭する。

豊富な色柄のバリーションもけいそうモダンコートの強みになっている。落ち着いた印象の色からビビッドな色まで標準で75色をそろえた。「和室だけでなく、リビングなどにもマッチする。壁の3面に落ち着いた色を施し、1面だけ色を変えるといった楽しみ方もできる。また、オリジナルカラーの特注生産にも対応しており、設計事務所や工務店などに差別化商品として活用いただいている」(同社)。

kansaijpg.jpgさらに、骨材の配合量などを調整することで、様々な質感の塗り材をラインナップし、模様付けのバリエーションも増やしている。「コテ塗りなどよる凹凸のある模様は、インテリアの装飾として根強い人気がある。間接照明と組み合わせることで奥行きのある空間を演出できる」(同社)。

ここにきて塗料メーカーも吸放湿機能や抗ウイルス機能などにより、室内空気環境の改善効果を発揮する新商品を開発し、内装壁材市場の開拓に乗り出している。その一つが、関西ペイントが展開する漆喰塗料「アレスシックイ」だ。抗ウイルス機能、調湿機能、消臭機能、ホルムアルデヒド吸着除去機能など、漆喰の持つ基本性能を保持しつつ塗料化したもの。

esk.jpgアレスシックイの数ある機能の中でもとくに評価が高いのが抗ウイルス機能だ。長崎大学と共同で行った抗ウイルス機能を検証する実証実験では、人に感染する最も身近なウイルスである人インフルエンザウイルスのほか、乾燥や消毒薬に強い水泡性口内炎ウイルなど、様々なウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮することを確認。こうした高い抗ウイルス機能を活かして、アフリカ諸国などでも、感染症対策として医療機関などで採用されている。そのほか、豊富なカラーバリエーションも用意した。漆喰独特の質感を生かした「デザイン仕上げ」などのバリエーションもそろえている。

エスケー化研では、シートにあらかじめ調湿機能をもつ塗料を塗布した左官調軽量調湿シート「SKカイテキテイラー」の提案を強化している。塗膜内部は緻密な多孔質構造となっており、これにより優れた調湿機能を発揮するとともに、臭いやVOCも強力に吸着する。

また、SKカイテキテイラーには、2.5mmという厚みで塗料を塗布することで、重厚な質感を持たせた。この塗料の厚みを活かして、リブ、リブモザイク、サガン、テール、ミディライン、ジュラクなど、陰影を強調した様々なデザインをラインナップしている。

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